コロンブスと後に続くコンキスタドールたちは新世界、アステカ帝国から、多くの財宝と共にカカオ豆をヨーロッパに持ち帰りました。
アステカ人はカカオ豆を非常に価値のあるものとみなし、貨幣としても使用し、スペイン人はこの新奇な豆に興味を持ちました。
スペインにおけるカカオの導入と修道院の役割
スペインに持ち帰られたカカオ豆は初め、王室や貴族の間でのみ享受される高級品でした。
しかし、修道院がカカオ豆の加工を手がけることで、その消費は徐々に広がりを見せます。
修道院が加工の中心地となった理由の一つは、修道士たちが研究と実験を行いやすい閉じられた環境にあったからです。
彼らはカカオの可能性を追求し、新たな製造方法を開発することができました。
チョコラテの誕生と普及
修道院での改良により、「チョコラテ」と名付けられた新しい飲み物が誕生しました。
アステカの伝統的なカカオ飲料をベースに、砂糖やハニーを加えてヨーロッパ人の好みに合わせたこの飲み物は、非常に人気を博します。
修道士たちが考案したカカオを熱したミルクや水に溶かし、泡立てて提供する方法は、現代のホットチョコレートの先駆けとなりました。
修道院によるカカオ豆の普及活動
修道院では、チョコレートの製造だけではなく、直接販売や分配も行われました。
この活動により、チョコレートは修道院の外の一般市民にも広まることとなり、スペインのチョコレート文化の基盤を築きました。
修道士たちの努力により、カカオ豆は単なる高級品から、広く愛される食材へと変貌を遂げ、スペインだけでなくヨーロッパ全体の食文化に影響を与えました。
伝統的なスペインのホットチョコレートの再現レシピ
終わりに
スペインでのカカオの導入はヨーロッパ全体のカカオ文化の広がりのきっかけとなり、チョコレート製品やレシピの原点です。
この食材はスペインの文化や伝統に深く根付き、食文化の進化と広がりの象徴となりました。
1600年代のスペインにおける食文化でのカカオの導入は、重要なマイルストーンであり、今日に至るまでその伝統は受け継がれています。
*1: カカオパウダーは低温加工でカカオの風味と栄養を保つ一方、ココアパウダーは高温加工とアルカリ処理で味がマイルドになり溶けやすくなっています。